海外で危険に慣れておかしくなった話~家の前が強盗のたまり場

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ブラジルのサルバドールに住んでいた時の事。スラムに長年不法滞在していたJさんのおかげで、何の犯罪に巻き込まれることもなく平和に暮らせていました。ご近所さんも皆陽気で人が良く関係も良好でした。そのため近くの商店や屋台みたいなところで毎日のように飲んだくれていました。

余談ですが、私たちが暮らしていた長屋の近くにある小さい商店には常にネギがありました。ブラジル料理でブラジル人がネギを通常使用するのかどうかはわかりませんが、その店のネギの購入者はほとんどが日本人でした。

私たちが暮らす長屋=J宿はJさんがサルバドールに不法滞在している数年の間、サルバドールを訪れる日本人が年中ひっきりなしに入れ替わり立ち代わり出入りしていたのでそのスラムには常に日本人が数人いる状態でした。

その日本人達が自炊用にネギを使用していました。麺系、丼もの系、鍋系などなど使用方法は多岐に渡りますが、その店にネギが入荷されると泊まっている日本人の誰かが必ず買い占め、それを長屋の皆で分け合っていました。

J宿の近くに同様な商店は複数あったのですがネギを置いてあるお店はそこだけでした。あの店の店主はなかなか目の付け所が良いなと思いました。

そんなスラムにあった面白宿のJ宿。平和だったのは良いのですが、私たちの住む長屋の目の前にいつも屯っている4、5人の若者がいました。朝から晩までずっと何をするでもなくずっと道に座ってボーとしていました。

どう贔屓目に見ても好青年とは言えません。そのスラム、日本人にとって安全ではありますが、それ以外の場所で会えば一瞬で襲われていたであろうチンピラのような集団でした。しかし私は別に彼らに何をされたというわけではありませんでした。ただ長屋を出入りするたびに好奇な視線を浴び何やらぶつくさ言っているのが聞こえ、あまり気持ちの良いものではありませんでした。

そしてふと思いました。あいつらおそらく20歳前後、一体何をやっているんだと。ずっと一日中道にすわりこんでいます。気になったのでJさんに聞いてみると一言、ああ。あいつら強盗やで。彼らは職業強盗とのことでした。

私たちが住むスラムとダウンタウンの間くらいの位置に高級住宅街があるのですが、そこをターゲットにしている強盗団の一員とのことでした。驚きよりも何故か妙に納得してしまいました。どおりで人相が悪いはずだと。漫画や映画で出てくるようなテンプレ通りなチンピラ顔。

というよりもそんな職業強盗な彼らが毎日朝から晩まで目の前に屯っているにも関わらず、一度も盗みに入られず、お金を脅し取られることもないなんてなんて・・・このスラムは日本人にとって平和なのだと改めて思い知らされました。

そして、アミーゴ(友達)のアミーゴはアミーゴ、というスラムの住民の結束の強さも同時に思い知らされました。