海外移住日記第30話 1つならともかく3つ同時は無理

Pocket

心身を蝕む3つの試練のジェットストリームアタック

タイのシラチャで就職した某財閥系鉄鋼会社での業務は大変の一言でした。激務でした。まずやらされたのは鉄、鉄鋼、コイルの勉強でした。それを毎日調べて教育係含む複数の日本人にメールで送れとのことでした。40歳を目前にして、子供か!とも思いましたが仕方がなくやっていました。まあそれはいいです。

しかし、やらされたことで一番嫌だったことは何と言っても、無理やりタイ人スタッフと会話させられる、ことでした。やれ名前を聞きに行け、業務内容を聞きに行け、世間話をしろ、などなど、お前は下手なお見合いの仲人か!?と思うくらいタイ人と接点をもつよう仕向けられました。まあ、タイ人スタッフと仲良くなるのが大事なのは分かります。でもこのやり方はどうなんだ?

しかもオフィススタッフは全員女性。彼女たちも無理やり話をさせられて困惑しています。ほらタイ人スタッフもどうしたら良いかわからない顔しているぞと思いましたが仕方がありません。私のタイ語力が不足しているのは重々承知。無理矢理にでもタイ人と会話をすることによってタイ語を上昇させようとする意図も分かります。

でも、だからと言ってこんな力技でタイ語力なんてすぐ伸びるわけがありません。しかし、私は新人。今、教育係のいうことを聞かなければあとあと困りそうだしなー、ということで唯々諾々と従っていました。これがまず第一のストレスとなりました。

次に大変だったのは、社内会話は全て英語だった、ということ。つまりビジネス英会話が必須となっていました。これは話が違うと言いたかった。確かに面接時に、昔昔toeicで700点を取ったことがある、とは言いました。それは確かだし、700点取ったことも嘘ではありません。しかし、それは昔取った杵柄。

面接時に、語学力は当面問いません。ゆっくりと慣れてください、そう言っていたじゃないの。いきなりビジネス英会話が必要なんて聞いていません。転職会社の担当者も言っていた。語学力よりも人柄重視だと。というわけでこのビジネス英語にも参ってしまいました。これが第2のストレス

そして根本的に仕事の内容が複雑すぎました。まあ、これはゆっくり覚えていけば良かったのだと思いますが、その複雑な仕事を教えてくれるのがタイ人のスタッフだったため内容がよく分かりませんでした。いや何となくは分かりました。でも細部、細かいニュアンスが分かりません。

この仕事を初めから日本人が教えてくれれば、どれだけ時間と労力と精力を無駄にせずに済んだのか。しかし、これもタイ人スタッフとのコミュニケーションとタイ語の勉強のためにとわざわざタイ人スタッフに教えてもらっていました。これが第3のストレス

この3つが私を苦しめました。会社がブラックだったのではありません。むしろかなりのホワイト企業なのだと思います。給料も良く、福利厚生もしっかりしていました。運転手が付き、休みも週休2日。当然賞与昇給もあり、有給もあります。社会保険は日本語で利用できる病院が無料で利用できました。

クセの強い人はいたがパワハラ上司などはいませんでした。例えば、この仕事を日本でやっていたら、あんなに苦しまずに済んだだろうと思います。初めこそ複雑な仕事内容に四苦八苦するでしょうが、時間が経って慣れてくれば仕事を覚えることができます。日本では業種は全く違うがもっと複雑な、権利関係、金銭関係のトラブル処理を平気で日常的にこなしていました。

それに比べれば仕事内容はずっとシンプルだと思います。しかし、それをビジネスタイ語とビジネス英語が邪魔をしました。3つ同時は無理でした。限界を感じました。そしていつしか毎日何故か目の奥が痛くなるという謎の症状まで出始めてしまいました。私はこのままここで働けるのだろうか、そう自問自答する日々が続きました。