もったいない~タイの物価について考えてみた

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日本を離れて海外に移住する。色々な理由があると思います。私のようにドキドキする人生を送るため、というおかしなものから、きちんとした高尚な理由まで。その中で可処分所得を最大化するためという理由もあるかと思います。簡単に言うと物価の安いところに住むということ。

しかし今この前提条件が崩れつつあると思います。タイに3年近く住んでそう思うようになりました。昔私がバックパッカーだったころのタイは確かに物価が安かった。それこそ日本の10分の1くらいで生活できたと思います。たらればや昔の話が意味のないことだということくらい分かっています。でも言わせて欲しい。昔は、安かった。しかし今は正直そうでもありません。むしろ日本よりもタイの方が物価が高かったりします。

その思い始めたのは実はもう少し前のことでした。それはブラジル時代。サルバドールのスラムの電気屋をたまたま覗いてみたところ商品の金額が書いておらず、ローンの月々の支払額のみ書いてあって驚いたことがあります。

そもそもの金額を表示せず月々の金額だけを表示するということは、つまり誰も一括で物を買おうとはしないということか。最近では日本でも携帯電話が知らない間にローンで買っていたりしますが、それでもまだまだどちらかというとニコニコ現金払いが多い気がします。

またポイントを確保し賢く倹約するためにカードを使うことがあっても一回払いで買うという人も多いと思います。例え全員がそうでないとしても商品そのものの額くらいは知らせて欲しいし日本では表示自体はある。それがここにはないのか、初めからローンで買わせる気満々なのか、とそう思いました。

ローンと言えば聞こえはいいが、これは単なる借金に過ぎません。それと同じことがここタイでも起こっています。既に付加価値の高いもの、電化製品や電子機器、ゲーム、携帯などなど、そのすべてが日本で買うのと同じくらいするか、日本以上に高いです。

それならば給料も同じかと言うと、もちろん給料が日本と同じくらいもらっているということではありません。一概に比較はできないが、同じ首都ということであれば東京のマクドナルドなどのファーストフードの時給が900円~1000円くらいだとして、タイの首都バンコクのファーストフードの時給は50B~70B(150~210円くらい)です。つまり給料差は5分の1くらいになります。

まあタイの場合、言い方は悪いが職業の貴賤が日本よりもはっきりくっきりしていて、ブルーカラーとホワイトカラーの給料差が日本よりも明確にあったりします。その中でもタイの場合すでに、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)な仕事は、すでにタイ人はやらず、ミャンマー人やラオス人、カンボジア人がやっていたりします。かと言ってホワイトカラーのタイ人の給料が高いというわけでもありません。これももちろん場所や職種、会社によっても違いますが、おおよそ2万B(約6万円)くらいからスタートだと思われます。

そのくせ皆2~3万B(6万から9万円)するスマホを平気で持っていたりします。下手したら日本人の我々よりも最新の良いものを持っていたりする。要するに自分の給料の1か月分以上のものを平気でぽんぽんとローンで買っている。それ以外にもタブレット、バイク、ノートパソコンなど。すべて日本で買うのと同じか高いくらいです。そのすべてが勿論ローンで買われています。つまりすべてが借金です。西欧社会の物質攻撃に完全にやられています。まあ、その一味に我らが日本も最前線で加わっているのですが。

しかし皆この収入と支出のひずみをおかしいと思わないのだろうか?借金とは、いうなれば負債。月並みな言い方だが、景気の良いうちはいい。しかし景気が悪くなったらそのすべてが支払い不可になります。正直タイの景気は今どん底です。しかしかと言って一度上げた文化的レベルは落とすことができません。今スマホを持っているタイ人に安いガラケーを持てと言っても誰も持たないだろう。バイクを自転車に帰る人もいません。

しかし便利なものや最新のものは基本的に作られた国、欧米や日本などの物価ベースで単価が決まります。当然だが便利なものや最新のものは世界中の人が欲しがる。例えそれが自分の国の物価のレベルに会っていなくても。

これからもどんどん先進国の先進会社が色々なものを発明して商品として売り出していくものと思われます。そしてそれを給料の安い国の人たちはローンで買い続ける。その洗脳に近い現状を考えるとうすら寒い思いをします。物欲を刺激されて気づけば借金まみれになり、お金を払い続ける機械となって生きていかされるような。言い過ぎなのかもしれません。考えすぎなのかもしれません。

ちなみにそんな私は今、友人にただでもらったスマホを使っています。タイで他の人が使っているのをみたこともないスマホ。使えればそれでいい。今更IPHONEを持って女の子によく思われようなんて思う年齢でもあるまいし。まだまだ使えているから、もったいない。

もったいない(mottainai)とは日本が世界に輸出した素晴らしい言葉です。

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