ブラジルのサルバドールでの怠惰な日々その10

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サルバドールを離れる決意はしました。そして今度は具体的にサルバドールを離れる日を決める必要がありました。離れることは決めたものの日程は未定でした。そこで改めてチリのサンチアゴからタイのバンコクまでの航空券のチケットの期限を確認してみました。するとあと2週間くらいの余裕がありました。

しかし今私が住んでいるのはブラジル東北部のサルバドール。そこからチリのサンチアゴまでの距離は北海道から沖縄を往復するくらいの距離があります。この2週間をどうするべきか?そういえばサルバドールに長くいすぎて南米はほとんど観光していませんでした。

マチュピチュもナスカもウユニ塩湖にも行っていません。早めにサルバドールを出てそれらを観光すべきか・・・しかし結局ぎりぎりまでサルバドールに滞在することにしました。こんなことで彼女への恩返し・罪滅ぼし?になるわけではないことは分かっていましたが、それでも少しでも長く一緒にいたかった。

そしてチリのサンチアゴからタイのバンコクまでの飛行機が出る5日前。私はサルバドールを去ることにしました。実際の期間的には6か月弱。しかし体感的には数年いたような気がします。

サルバドールを去る前日。サルバドールで知り合った日本人とブラジル人が集い、壮行会?お別れパーティーを開いてくれました。10人ほどの老若男女全員でご飯を作り、酒を飲み大いに語りあい、ずっと笑っていたような気がします。最終的に酔っぱらいすぎて男性陣は全員上半身裸になり、踊りまくり女性陣に箒で叩かれて叱られるという、今となっては良い楽しい思い出です。

そして翌日の朝。旅立ちの日。半年とはいえ同じところに住めば荷物も増えます。彼女と一緒に荷造りを済ませ、部屋を出るとサルバドールで一緒に過ごした友人たちが揃っていました。そして玄関には半年の間お世話になった宿主のJさんが待っていてくれました。

さみしくなるな~

>また会いましょう!

そやなー

>それではみなさんお世話になりました!!

そう言って私はJ宿を後にしました。旅先での別れは何度も経験していて慣れているはずなのに、何故か涙がこみ上げてきました。それだけサルバドールでの日々が私にとって身近で、当たり前で、そして大切なものだったのだと思います。

J宿から空港までは彼女と二人きりで向かいました。皆が気を使ってくれて二人きりにしてくれました。空港に向かうタクシーの中では無言でした。何を話してもただ辛くなるだけでした。

サルバドールの空港には出発時刻の1時間半前近くに着きました。今回はチリのサンチアゴまでの飛行機の残りの時間も考えて、また財布の懐事情も鑑みて、サルバドールからブラジルとアルゼンチンの国境の町、イグアスの滝で有名なブラジル側の町、フォス・ド・イグアスまで飛行機で飛ぶことにしていました。そしてそこからは陸路でチリのサンチアゴを目指す予定でした。

出発時刻までかなり時間がありました。しかし当たり前ですが会話は全く弾みませんでした。隣を見ると悲しそうな表情をした彼女がいます。空港で何度このまま飛行機のチケットを破り捨てて、このままブラジルに残るわ、お前と一緒にいるわ、そう言おうと思ったことか。

そして再びj宿に向かい皆に向かって、戻ってきちゃいましたー、そう言えば皆大盛り上がりするだろうな、そしてまた楽しい日々が続くのかなとずっと考えていました。しかしそんなことはただの一時しのぎなことも当然分かっていました。

そんな答えのない堂々巡りをしているうちに搭乗の時間が近づいてきました。こんな中途半端な気持ちで、その場の勢いや、テンションだけでこんな大事なことを決めていけない。そう冷静に、そして実はただビビっていただけなのかもしれませんが、私は飛行機に乗ることにしました。

最後に彼女に、俺行くわ、そう告げた時彼女は泣きながらキスをしてきました。しかし行かないでとは言いませんでした。諦めていたのか、それとも許してくれたのか。搭乗ゲートを抜け、中に進んでも振り返ると彼女は私を見送り続けていました。今ならまだ間に合う。まだ彼女のもとに帰れる。そう思いましたが、ビビりな私は戻ることができませんでした。

そして一人飛行機の中で周りの人に泣いているのを悟られないために頭から毛布をかぶりました。