タイのチェンマイにて。彼女の浮気疑惑が発覚。その答弁に対する怒りから彼女からの連絡を完全に無視してシャットアウトしました。着信はすべて無音でバイブにしてありましたが、毎日のように彼女からの鬼電鬼連絡が続きました。そしてそんな生活が1週間ほど続きました。しかし、突然ぴたりと連絡が来なくなりました。
やっと諦めたか。もうこれでバイブの音に苦しむこともないわ、とホッとしたようなちょっと寂しいような気もしたある日の夜こと。私はこの1週間というもの、彼女と出くわさないために深夜まで飲み歩いていました。この日もいつもの通り、深夜3時頃に部屋に帰ってみると、薄暗い廊下に人影があるのが見えました。
んー誰だー?と目を凝らしてみると・・・それは自分の部屋の前に幽鬼のようにたたずむ彼女の姿でした。同じことがパイでもあった気がする。しかし、雰囲気がヤバい。禍々しいオーラをまとっている。しかし、ちょうど私が彼女だと気が付いた瞬間、向こうも私に気が付きました。目が合いました。不思議と逃げることができませんでした。
・・・いや、逃げたらやられる!と思いました。人生で初めて殺される!そう思いました。しかし、不思議なことに足は逃げることをせず前に進みます。おそらく本能的に距離を取るよりも距離を詰めた方が安全だと気付いたのだと思います。ゆっくりと歩を進めながらも頭のCPUは火を噴く勢いで動き続けていました。
もし刃物を持っていたら?急所だけは防ごう。さすがに銃は持っていないよな?助けてーっていうよりも火事だーって叫ぶ方がいいんだっけ?ああここタイだ。火事って言っても通じないわ、とか色々なことが一瞬にして頭の中で駆け巡りました。そして彼女の前に立ちました。すると彼女は言いました。
・・・どうして電話出ないの?
いつも喧嘩していた時のように感情的にではなく、静かな語り口調が逆に恐ろしかったです。いや・・・あの・・・、内心はお前が浮気(未遂?だけど)するからだろう、そう言いたかったのですが、今彼女を怒らすようなことをいったらマジで殺られるかもしれない、そう思った私は、冷静にそして諭すように言いました。
俺と居るよりもそのもう一人の男と居た方がPは楽しいんじゃないの?
〉違う、私の彼氏はあなた、あの人は関係ない・・・。
(・・・よし。いきなり刃物でざくっ!とはならないようだ。このまま紳士的淑女的に話を進めよう)
・・・じゃ、じゃあPはどうしたいの?正直俺はPがあの男と会うのは嫌だ。そうじゃないと信用できない。
〉分かった、じゃあもう彼とは会わない
・・・・・分かった。それならいい。でも今日はもう遅いから部屋に帰った方がいい。明日また話そう。
そう言ってその日はその彼女を家に帰しました。こうして何とか九死に一生を得て?人生を続けることができました。