チェンマイからの夜行バスがバンコクに着きました。しかし、すぐに日本に戻るわけではありませんでした。バンコクにも友人が数人いたので、1週間ほどバンコクに滞在する予定でした。そしてバンコクの友人知人と会い、別れを惜しんでいるとチェンマイの元彼女Pから電話がかかってきました。
今、どこ?
>バンコク
いつ、日本帰るの?
>えーと、3日後の○○時かな。
分かった。明日バンコクに行くから。
>は?
バンコク着いたら連絡する。
>ちょっ・・待っt(ツーツーツー・・・)
みたいな電話が彼女からありました。いきなりでしたが、どうやら私の見送りのためにわざわざチェンマイからバンコクへ見送りに来てくれるようでした。正直にいうと私の心はドキドキでした。異国の地で長く付き合った彼女。結局喧嘩別れしてしまいましたが、私の帰国の日に駆けつけ見送ってくれる。まるでドラマのようだ。そんな気持ちが湧き出てワクワクしながら彼女を待つことにしました。
そして次の日の昼過ぎ。彼女からの電話でバンコクのモーチット(北バスターミナル)に着いたとの連絡がありました。彼女に電話で、そこからカオサンまでは~番のバスに乗って、それで~で乗り換えて、最悪分からなければタクシー使って・・・、などと道順を説明していると彼女から一言、あのねー、私タイ人。そんなこといちいち言われなくてもそこら辺の人か運転手に聞けばわかる。子供じゃないんだから心配しすぎ。
・・・そう言われてみれば確かにそうです。私は何をそんなにウキウキしているのかと思い、恥ずかしくなりました。そして彼女からの連絡が入ってから1時間ちょっとが経った頃。彼女から、カオサンに着いた、との連絡が入りました。
どこ?今どこにいる?
>えーと警察署の近く。
分かったそのまま反対側に歩いてきて。
その時ちょうど私はカオサンの反対側の入り口にいました。そのままPの元まで歩いていくことにしました。そして周りに気を配りながら彼女を探しながらゆっくりとカオサンを歩きました。すると半分を超えたあたりで彼女らしき人物を発見しました。
あの時のあの感覚は一体何なのでしょうか?彼女を探していたのだから、見つけたのだから、名前を大声で叫び、駆けよればいいのに・・・私はなぜか声をかけることをせず、しばらく彼女の姿を眺めていました。そして少しずつ距離を詰めました。ただ単に照れ臭かったのかもしれません。結局、彼女が私に気づき、大声で私の名前を呼びながら笑顔で駆け寄ってきてくれました。