海外移住日記第5話 不動産会社に就職したはずなのに探偵の真似事をさせられる

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まさか探偵の真似事をすることになるとは

話は少しさかのぼって、出社初日。課長による業務内容に関する役に立たないオリエンテーションが終わった後、続いて社長から一人の男の人が紹介がされました。実は、この紹介された男の人というのが、元刑事で現役の探偵でした。私が転職した会社は宅地建物取引業協会という不動産の協会だけでなく日本調査業協会なる探偵の協会にも所属しているとのことでした。

これは後日、飲みの席で聞いた話なのですが、実は、私たちが入社する前、社長も課長もマンションの調査中に管理人に見つかったことがあるらしいのです。ちなみに社長はその時、電力会社のメーターチェックです、と言って逃げてきたとのこと。しかし、喧嘩早い課長は管理人と揉めて警察に通報される寸前までいったそうです。

それから一戸建てなり、マンションなり、物件調査をする時に誰かに見つかっても大丈夫な言い訳はないか?と考えついた結果が、日本調査業協会加盟ならびに加盟員であることを示す身分証明書、を保持することだったのです。これがあれば立ち入り禁止のマンションにも入り放題だぜ!と。

社長は、マンション調査中に管理人や近隣の人に見つかり注意されたら会社の社員証ではなく、この調査業協会の身分証明書を見せろ、と言いはなちました。これを見せて、調査中であり依頼者への守秘義務があるから話せません、と言えと。それで押し通して何とかして帰って来いと。そして一言、それで大丈夫や!!!と。

・・・おいおいマジかよ、と思いながらも現役探偵の話は続いていきました。探偵のおじさんからは調査におけるノウハウや気構えを一通り教えてもらいました。しかし正直うわの空、心ここにあらずで、あまり内容は覚えていません。それよりも内心では一体私たちはこれから何をやらされるのか、という不安な思いと、それとは逆にちょっと楽しそうかも、というワクワクした気持ちとがごちゃまぜになった不思議な気持ちがしていました。

今思い返すとそう思った考えは完全に間違いでした。ちなみにこの探偵には後に、所在の分からなくなっている物件の所有者の身元特定の調査をしてもらうことにもなります。その後、昼休憩時に同時入社となった二人と話をしていましたが二人ともまさか探偵業務までやらされることになるとは夢にも思わなかった、と私同様驚いていました。

ちなみに二人の内、一人が45歳でもう一人が32歳でした。二人とも元不動産会社の経験者でした。そして後にこの内の一人が警察に捕まることになります。ですが、それはまた後の話。



探偵はBARにいる【通常版】 [ 大泉洋 ]

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