カナダのバンクーバーでのワーホリ体験記11 英語さえできれば仕事は見つかる

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チャイナタウンの新しいステイ先での生活は楽しく快適そのものでした。ダウンタウンから近く、また学校の友人達も皆ダウンタウン近隣に住んでいたため、友人達との部屋の行き来が増え、当然飲み会の回数が増えていきました。

バーナビーに住んでいた頃は友人の部屋での飲み会がほとんどだったのですが、チャイナタウンの近くに住み始めたということもあり、私の部屋での飲み会の回数も増えていきました。また私のステイ先のオーナーもパーティー好きで、私の友人が来ることにウェルカムな感じだったのも理由の一つでした。

そしてこのオーナーはかなり変わった人でもありました。アメリカやヨーロッパにありがちなのですが、家のことは何でも自分たちでやる派の人でした。簡単な工事から修繕などはもちろん、ビールやワインまで自分たちで作っているのは驚きでした。

私がステイ先を変えてから1週間ほどたった頃、もう一部屋の同居人も決まりました。それは私よりも10歳近く年下の19歳のイケメン君でした。彼の入居が決まった時、オーナー夫妻から紹介をされて、そのままお決まりの酒盛りへと流れていきました。

ちなみに当時の私は、とりあえず日常生活には困らない英語くらいは話せる状態でした。しかし彼は全く英語が話せず、大げさでもなんでもなくABCから始めるくらいのレベルでした。それは大丈夫かしらと心配するくらいでした。

が!やはり若さとは恐ろしいものです。英語吸収速度が30歳手前の私とは段違いでした。結果だけ先に言ってしまうと、1年後彼に英語力で軽く負かされることになります。それは彼がカナダで作ったカナダ人の彼女の影響もあるかと思われます。くそ。イケメンのリア充め。

お互いの部屋がキッチンを挟んで向かい合っているだけの距離だったので、必然的に顔を合わせる機会は多く、毎日とはいきませんでしたが彼とはよく話をしました。その過程で彼の過去の話なども聞くことになりました。

どうやら彼は中学の頃にグレにグレて高校にも進学せずにずっと夜の街を徘徊していたとのことでした。そんな息子の状況に危機を感じた母親が一計を案じて、高校にも定時にもいかなくていいから留学をしてこい、と言ったとのことでした。勉強なんてしなくてもいいからカナダでエンジョイしてこい、と。

しかし、それはあくまでも建前でした。母親の考えでは、カナダに行ってしまえば、そして学校にさえ入れてしまえば、嫌でも英語を覚えて帰ってくるだろうと。また彼の趣味嗜好を知り尽くしている母親からすれば、夜遊び好きな彼は、夜遊びするにも英語での情報が必要になるはず、と考えました。そしてその過程で必ずある程度の英語は覚えることになるのではないかとも考えました。

またさらに現地で彼女でもできてしまえば、より英語を覚えることになるだろう、と考えました。そうなればめっけものだなと。どちらにしてもこのまま日本で、地元で半グレのような生活をさせておくよりも万倍もましだと思ったとのことでした。

確かに!と思いました。彼の母親の先見の明に目からうろこが落ちました。正直な話、今の時代、例え中卒で学歴がなくても英語さえ喋れれれば将来仕事なんていくらでもあります。もちろん一流企業みたいなところでは、未だに学歴の有無が関係してくるのかもしれません。

また今から高校や定時、大学などに通わせる学費と留学費用を比較してみても留学費用のほうがはるかに安上がりになるとの算段もどうやらあったようです。彼の母親の賢察は素晴らしいと思いました。そしてまさしく彼は母親の思惑通り、バンクバー生活を満喫しつつ、英語をマスターしたのでした。

そして1年後私はまんまと英語力で完敗することになります。私もカナダ人の彼女さえできていればこんなことにはならなかったのに。今から悔やんでも後の祭りなのですが。