オーストリア旅行記~ウィーンの踊り子2

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そしてその1週間後私はウィーンへ再び舞い戻ってきました。チェコにいる間も彼女とはずっとメールのやり取りをしていたのですが、彼女との待ち合わせはドキドキでした。本当に来てくれるだろうか?と。

こんなにドキドキしたのは中学生のころグループデートをしたとき以来かもしれません。そして約束の時間。彼女は真っ白なワンピースを着て現れました。その姿を見て間違いなく私は今人生の絶頂期にいると思いました。

彼女と1週間ぶりの再会。そして軽い挨拶をした後、私たちは一緒にシェーンブルン宮殿に行くことにしました。かなり有名な観光地なのですが、正直そんなことはどうでも良かったです。それより何より彼女と過ごす時間自体に意味がありました。

彼女を待っている間は、会話が盛り上がらなかったらどうしよう?とか悩んでいました。しかしそんな心配がウソのように楽しい時間が続きました。そういえばシェーンブルン宮殿の庭園を見学中、地中に埋まっているスプリンクラーがあったのですが、彼女がそれに気づかずに水を浴びてしまうというハプニングがありました。

ドジだなーははは、ちょっと教えてよーふふふ、みたいな、なんだこの少女漫画みたいなシチュエーションは、と思わないでもありませんが、あれ当事者だと本当に楽しいということがわかりました。それは世界中からバカップルが消えないはずです。

そしてその最中海外だからなのか、一目惚れしたからなのか、今ではわかりませんが、普段では考えられないくらい、歯の浮くようなセリフを使い彼女を口説き倒していました。もう今考えると恥ずかしいを通り越して、気持ち悪いくらい口説き倒しました。

しかしヨーロッパの空気がそうさせたのか、ウィーンの雰囲気がそうさせたのか、それとも世界遺産と美しい庭園がそうさせたのか、彼女にその想いが届いたようでした。その夜、彼女の下宿先に忍び込み薄明りの中、声を落として行為に耽ったのは今でも夢だったのではないかと思います。

本当は彼女ともっとずっと一緒に居たかったのです。しかしその1週間後にスペインで行われるトマト投げ祭りに参加をするのをイスタンブールで出会った日本人の友人と約束していました。仕方なく、泣く泣くウィーンを発つことになりました。

その後手紙、メールでのやり取りを続けていましたが、距離がそうさせるのか、それともあれはウィーンでの一夜限りの過ちだったのか、彼女からの連絡は次第に少なくなり、そして完全になくなりました。しかし後にも先にもあんなにも夢中でかき口説いた女性との出会いはありませんでした。



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