翌朝、そういえば待ち合わせ時間を決めていなかったので、常識的な時間に彼女たちの部屋をノックしてみました。ちょうどシャワーを浴び終わったところらしく、我ながらグッドなタイミングだと思いました。というわけで私が毎日言っているパン屋で朝食をすることになりました。
いつものパン屋でいつものように2階のテラスに上り、チャイを飲みながら朝から騒がしいカトマンズの雑踏を見下ろす。いつもと同じ朝。いつもと違うのは目の前に女の子が二人いること。これはこれで非日常感があっていいな。
彼女たちにネパールでの予定を聞くとツアーでヒマラヤトレッキングをするのが目的とのことでした。一瞬、俺も一緒に行くわ、そういいそうになりましたが、その予算10万円とのこと。貧乏学生旅行の私には当然そんなお金は出せず断念することにしました。
彼女たちはそのツアーをカトマンズの今泊まっている宿、もしくは旅行代理店でツアーを探すとのことでした。パン屋を出た後、彼女の友達は部屋でちょっと休むというので、私と彼女は二人でカトマンズの街を観光することにしました。
カトマンズはショッピングに最適な町です。アジアンテイスト満載な小物や色鮮やかな民族衣装のサリー、町全体に漂う香辛料など・・・男の私ですらワクワクするのですから、女性ならば当然テンションがマックスで上がっていました。
”普通なら治安のことを気にしてこんなに歩き回れないけど、今日は○君がいるから安心”
そう言われてしまうと付き合わざるを得ません。結果、半日近く案内兼付き添い兼ボディーガード兼荷物持ちとして活動することになりました。しかし、バンコクで出会った時もそうだったのですが、彼女はえらく社交的な女性でした。ガンガン地元の人に話しかけていました。すると、彼女が突然私の手を引きました。
ねえ、見て!あの人めっちゃ綺麗!
>君のほうが綺R・・・どこ?どれ?
ほら、あそこの反物屋にいる二人組。
>えーと・・・おお!!
確かに。めっちゃ綺麗な二人の女性が布を見ています。典型的なインド・ネパール系の美人。しかしインド映画などでよく見る攻撃力が高そうな美人ではなく、どちらかというともう少し柔らかい感じの美人でした。と思った瞬間彼女はすでに突撃していました。
すいません!あまりに二人が綺麗なんで。ちょっとお話ししてもいいですか?
>・・・(困惑顔)
綺麗ですねー。お二人は友達ですか?姉妹?何してるんですか?
>え、あ、あの、と、友達。
へー、そうなんだ。二人とも超綺麗。
なんて会話を他人事の様に聞いていると、今度はこちらに話を振られました。
ねえ、○君もそう思うでしょ?綺麗だよね?
>え、あ、俺?ああ、うん、綺麗。
ねー。そうだよね。
本当すいません。そう思いながらも彼女の興奮は止まらないようで、その後も何やかんや話しかけて最終的には記念写真を撮ることになりました。怒られないかなと心配しましたが、彼女たちもこころよく、ではないでしょうが、彼女の勢いに負けて一緒に写真を撮っていました。・・・ちなみに私もちゃっかり写真を撮らせてもらいました。
ある種、カトマンズでの印象的な思い出になりました。
ネパール(絵を見て話せるタビトモ会話) (絵を見て話せるタビトモ会話―アジア)