キャッシュレス化は日本では一気に進まない・・・と思う

Pocket

世界の中央銀行がデジタル通貨の研究に動き出している。その先頭を走るのがスウェーデンだ。早ければ2018年中にデジタル通貨「eクローナ」発行の結論を下す予定で、実現すれば世界初。首都ストックホルムの街中を歩くと、既に現金決済が消えつつあり、お金の常識が変わろうとしていた。 「すみません、現金は使えません」。旧市街のガムラスタンから電車で南へ20分。11月中旬、繁華街のパン屋に入ると、クロワッサンを購入しようとしていた外国人旅行者に女性店員のイザベラさん(21)が頭を下げていた。

急速に進んだキャッシュレス化

スウェーデンでは、2000年代に入って急速にキャッシュレス化が進行。現在、現金支払いは全決済のわずか2%にすぎない。スウェーデンの中央銀行、リクスバンクによると、財布の中に現金を入れていない人も15%に上る。2年前にクローナ紙幣のデザインを一新したが、イザベラさんは「もう1年半以上、現金を使っていないので、紙幣のデザインは覚えていない」と話した。 クレジット、デビットカードすら時代遅れのようだ。多くの国民が決済に使うのが「SWISH(スウィッシュ)」と呼ばれるスマートフォンのアプリ。02年にスウェーデンの大手6銀行が共同で立ち上げたシステムで、その利用率は国民の半数以上、若年層(19~23歳)に限れば95%に達する。 スウィッシュは携帯番号と銀行口座がひも付けされており、小売店での支払いだけでなく、個人間のお金のやりとりも一瞬でできる。スウェーデンは1940年代に国民番号制度を導入したマイナンバー先進国でもあり、大手銀行の幹部は「フィンテックを使ってあらゆる行政サービスと金融サービスを一本化するワンストップサービスを実現したい」と語る。

引用:毎日

このニュースを見た最初の感想は・・・これなら偽札の心配がしなくていいなー、とバカみたいなものでした。しかし、タイではそうでもないのですが、中国やアジアの一部の国ではATMから偽札が出てくるなんて話も聞きます。そこに暮らしているのならまだ何とか対処のしようがあるかもしれませんが、海外旅行先で偽札を掴まされたら目も当てられません。

まあそんなことはともかく、あくまで漠然とですがこのキャッシュレス化の流れが本格化するといつか困りそう・・・なんて思ってしまいます。そう思ってしまうのは私だけではないのではないでしょうか?

いわゆる目の前にないただのデータに信頼の置けない人。投資の世界でも金などのように現物資産を好むという人がいます。まあ金などは半永久的な価値があると思われているからなので信用が前提にある通貨(なければただの紙切れ)とは違うということは十二分に分かるのですが・・・

でも確かに日本のすべて(できれば世界中のありとあらゆるポイントも統一)のポイントを統一してくれると非常にありがたいです。私もいまだにいろいろなサイトやカードにポイントが残っておりその把握が非常に面倒くさいです。

このような壮大な変化なので、本当に頭の良い人たちがいろいろと考えていることと思います。しかし私にはバカなりの疑問がたくさんあります。電気止まったらどうなるのだろう・・・スマホを落としたら・・・スマホをハッキングされたら・・・紛失したことを連絡できない状況だったら・・・などなど。そう。いまだすべて電気仕掛けになることへの怖さがあります。目に見えていないところですべてが処理される怖さとでもいうのか。

ただこれは世界的に稀有な災害大国である日本で生まれ育った日本人特有の心配なのかもしれません。また災害時、日本・日本人の場合は繊細かつ、丁寧に対応しますが、日本以外の国ではよく言えば鷹揚というか、悪く言えば適当というか・・・

何しろ日本では電車が予定時刻より3分遅れただけで謝罪のアナウンスが流れる国。そんな国世界中に日本しかありません。ヨーロッパですら大規模停電なんて起きても、まあ仕方ない、そのうち直るさくらいにしか思いません。

ただ一方、このような社会変革のスピーディーさは羨ましくもあります。“スウェーデンの大手6銀行が共同で立ち上げたシステム”なんて日本では何十年かかることやら・・・SUICA等の電子カード一つまとめられないのに・・・

しかし昨今の電子カード・スマホ決済が優れている過剰とも入れるキャンペーンを見ると思わず首をかしげたくなります。やれ中国はどうとか、今回はスウェーデンだとか・・・ 好みで使い分ければいいのではないでしょうか?

まあ世界の誰かが得するから糸をひいているのでしょうが、日本でキャッシュレス化が一気に一斉に流行ることはないかなと思います。それは一昔前に起こった、インターネットの爆発的な普及でペーパーレスが進むといわれていた、あの時代と状況が似ています。結果はどうだったというと、まったくそんなことはありませんでした。むしろ紙媒体の発行部数が伸びたくらいでした。かくいう私も電子書籍は苦手でいまだに現物の本を好みます。

個人的な感想としては、スウェーデンが身をもって壮大な社会実験をしてくれているわけですし、として生暖かく見守ればよいのかなと思います。そもそも日本とスウェーデンでは国家規模が違いすぎます。何しろスウェーデンは人口1千万ほどでGDPは5000億ドルです。これは東京のGDPの9000億ドルの半分ほどの数字です。

スウェーデンや中国がキャッシュレス化によってどのような結末を迎えたのか・・・日本はそれをじっくりゆっくり見物した後、メリットとデメリットをしっかりと把握して実践すればよいと思います。