中東旅行記26 アレッポで友人と再会

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さてデリゾール観光を終えた私は、一路アレッポへ向かうことにしました。アレッポはシリアの北、トルコとの国境近くにありシリア第二の都市と言われていました。そしてかつては、シリア最大の人口を誇る商業の中心地でもありました。ロンリープラネットのシリア版には、「もっとも好奇心をくすぐる中東の都市のひとつ」とまで書かれ、1986年に町自体が世界遺産に登録されました。

・・・・・ました、と過去形で書いたのは、そんなアレッポが現在では、シリア内戦のため荒廃し、破壊の限りを尽くされてしまったからです。あのCNNから、ここは地獄、とまで言われるほどの惨状に変わり果ててしまいました。なんてこった・・・

当然、私が訪れたころのアレッポは前者の、歴史的な遺跡が鎮座し、活気ある商店街では人々が思い思いに買い物や観光を楽しむ平和なアレッポでした。しかし、私がそんなアレッポを訪れた目的は一体何だったのか?・・・正直全く思い出せません。アレッポ城を見るために行ったわけではないだろうし・・・当時の旅行ノートを見ても書いてありません。

しかし、当時の私を推察するのであれば、おそらく彼女の部屋を追い出された悲しみをバックパック旅行に託し、その勢いのままにシリア一周をしようと思い立ち、アレッポに行ったのではないかと思います。まあ、ただ単にお土産(アレッポ石鹸)を買いにいっただけなのかもしれませんが・・・。

そんなアレッポに無事到着。適当なホテルにチェックインした後、特にやることもないので観光でもすることにしました。店を冷やかしつつお土産を物色していると、ここで嬉しい出会いがありました。それはスーク(市場)を歩いていた時のこと。目の前からなんか見たことのある顔のアジア系の女性がこちらに歩いてくるのに気が付きました。

距離が近づき、よーく顔を見てみると、あれはアンマンで別れた日本人の女の子の片割れではありませんか!向こうはまだこちらに気づいていないようでしたが、思わぬ出会いに思わず大きな声で名前を呼んでいました。

おーい!〇〇!何しとるのー?

>(ビックリしてキョロキョロしつつ)・・・あー!○○だ!

おー!久しぶり!何でアレッポにいるの?

>こっちのセリフだよ。イスラエルは?

いや、一日滞在してアンマン戻ったよ・・・

的な感じで偶然の再会、しかも異国、しかも中東のシリア、しかも紀元前から続く歴史的なアレッポのスーク、といういろいろな要素が重なったこともあってお互いのテンションはマックスまで高まっていました。本当、これがドラマなら、抱き合ってキスまでいく段取りだと思います。まあ実際にはそんなことはなかったのですが。

いやいや立ち話もなんだから、と近くのカフェみたいな屋台みたいなところに入り、お互いの近況を話し合いました。まあ、といっても別れていた期間はほんの1週間くらいのものなのですが、それでも異国での偶然の出会いは嬉しいものです。ひとしきり近況を報告し終わると、お互い目的は同じ、買い物(アレッポ石鹸)ということもあり一緒に行動することにしました。

無事に買い物も終わった後、当然のように一緒に観光もして、夕食を共にすることになりました。聞くと泊まっている宿も同じ!・・・ではありませんでしたが、斜め前ということ。まあ当時のシリアはバックパッカーが泊まるようなゲストハウスは少なく、かつ同じエリアに固まっていたので驚くようなことではありません。

アレッポの夜。シリアは夜遊び皆無の国。まあ、実際探せばあるのでしょうが、短期+貧乏旅行者の私たちには縁遠いものでした。そしてそれは中東全体に言えることでした。そんな中東での最大の娯楽は何といっても出会った旅人との、会話、でした。まあなんて原始的な娯楽。

適当に入ったレストランでの夕食後、特に行く宛もない私たちは彼女の宿のサロンで夜遅くまでジュース(中東は基本お酒禁止)を飲みながら語り合いました。こうしてアレッポの夜は更けていきました。