中東旅行記番外編 外道旅3

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そして砂漠から上がる朝日を堪能したらいよいよピラミッドの頂上から降りなくてはいけません。逃げ道などありません。すでに観念しております。当然、下では警備員やら警察やら軍隊が待ち構えています。即捕まります。ここでは無駄な抵抗などせずすんなり捕まることが肝心です。

問題はこの後、私・・・友人たちは、それぞれ近くの屯所みたいなところまで引きずられそこで尋問となります。ここで一番重要なのは、ひたすら謝るということです。そして英語は全く話せない振りをすることです。まあ私の場合、もともと英語なんてほとんど話せないのですが。

つまり、ソーリーソーリー、ノーイングリッシュノーイングリッシュ、をひたすら繰り返すわけです。今ならいざ知らず、20年前にピラミッドを警備する人らの中に日本語ができるエジプト人なんていませんでした。そして既述のようにパスポートなどの身分を証明するようなもの、ゲストハウスのカギなどはすべて持ってきていません。

別室では同じように連れの女の子が尋問を受けます。が、エジプト人は日本人の女の子に弱いです。これは日本人の女の子が同じエジプト人や欧米旅行者の女性に比べて見かけが幼く見えるからかもしれません。そして彼らは宗教的に女の子の体に触れようとはしません。ちなみに男性陣は身体検査されて数人は全裸にさせられます。

そしてタイミングを見計らったところで女の子に泣くように、とあらかじめ指示をしておきます。こうなってくると場が混とんとしてきます。目の前には、何を言われても上記のソーリーとノーイングリッシュだけを話している若いジャパニーズ。エジプト人もお手上げ状態になります。というか面倒臭くなります。

確かにピラミッドに登るというか人類の宝に対する冒とくはあった。しかし、何かを盗んだわけでもない、傷つけたわけでもない、もちろん殺したわけでもない、・・・もういいわ!面倒だわ!お前らあっち行け!となります。そう!そういう心境になってくれるのをひたすら待つのです。人にも相手にも状況にもよりますがおおよそ4、5時間くらいでしょうか?それくらい経つと二度と来るなよと怒られて放り出されます。

日本でも中国人や韓国人、アラブ人などが日本で軽いトラブルを起こした時、店の人や警察相手に母国の何を言っているかわからない言葉でワーワー騒がれたら、面倒くさくなって放免するという話を聞いたことがあるかもしれません。つまり今観光客が増えた日本で起きている外国人トラブルのはしりみたいなことを20年前のエジプトで行っていた、ということになります。

敷地外に放り出された後。女の子の下着の中に隠し持っていたお金でタクシーに乗りカイロに戻ることになります。そして同じく下着の中に隠し持っていたカメラで撮った写真をカイロ市内で現像してもらうわけです。どうせならあの写真は思い出として取っておきたい。というわけでこの作戦には女性が必ず(でもないけど)必要となります。

問題はこんな一度は必ず捕まることを前提としたイカれた作戦にのってくれる女性旅行者を確保できるかどうかです。尚、これはあくまでも今から20年以上前のお話。今、こんなことをしたらSMSで特定されて一生晒し者にされる、というかブタ箱行きになること必至なので絶対に真似しないで下さい。