ヨーロッパ横断旅行記43 スペインのトマト投げ祭りの後・・・

Pocket

ユウコは何か大事な用事があったのか、足早に帰って行ってしまいました。残されたのはエレナとエレナのお父さんと私。・・・うーん居づらい。というか、よくよく考えれば、よく分からない男が家にいるわけで、普通のお父さんからすると気分が良いわけはありません。

もし、私がお父さんの立場だったら・・・自分で言うのもなんですが、こんな私のようなよく素性の分からない野郎が家にいたら快く思いません。マンガのように怒鳴り散らして家から放り出す、みたいなことはなくとも、少なくとも不機嫌な態度を隠さないと思います。

しかも当時私は典型的なバックパッカーでした。ストロングスタイルのバックパッカーだったため、旅行中はひげを伸ばしっぱなしにしていました。そんな無精ひげだらけ、全身トマトまみれの小汚い20歳の野郎を快く(とにかく表面上は)迎えてくれたお父さんの度量の大きさには感謝しかありません。

さて、しばらく部屋にて歓談して、休憩したのち、一緒にご飯を食べに行こうという話になりました。なにやらビーチ沿いにおすすめのレストランがあるとのことでした。家からバスに乗ること十数分、日本でもよく見るような、海水浴場みたいな場所に到着しました。

私はちょっと用事があるから、しばらく二人で過ごしていなさい。

ここでなぜかお父さんからそう言われました。へっ?そう驚いているとお父さんはそのままどこかへ歩いて行ってしまいました。残されたのは、私とエレナの二人だけ。場所はスペイン、バレンシアのよく分からないビーチ。周囲には家族連れやらカップルやらがそこここにいます。

あの時間が一体なんだったのかいまだによく分かりません。本当にお父さんは何か用事があったのか?それとも何か変な気を使って私とエレナを二人にしてくれたのか?なんだ?この時間は?そう当惑しながらも、エレナとビーチの方へ降りていくことにしました。

二人で波打ち際まで行き、ちょうど波が寄せてきているギリギリのところを橋渡しのように二人して歩く。傍からみると完全にカップルが波打ち際を話しながら歩いているように見えたことと思います。が、当然私たちは付き合っているわけでもなんでもなく、ついさっきトマト投げ祭りで出会ったばかり。

確か時間にして1時間ほど波打ち際を歩きながらたくさん話をしました・・・ん?いや?だから一体何なんだこの時間は?映画のワンシーンか?そう混乱しながらも頭の中でしっかりとサザンの曲がかかっていました。


A20 地球の歩き方 スペイン 2018~2019