ヨーロッパ横断旅行記40 スペインのトマト投げ祭りでの死闘

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そんなトマト投げ祭りですが、現場はまさに無法地帯の様相を呈していました。というのもトマトを投げ合う合間に洋服を脱がされる女の子が続出しており、それが楽しんでいるのか、本気で嫌がっているのか、よく分からない、何かギリギリな感じでした。後々調べてみると毎年痴漢的な、暴行的な事件が起きているようでした。まあ、あの状況であればさもありなんというところです。

しかし、そんな眼福な光景を楽しむ余裕など当時の私にはありませんでした。というのも途中から目の前にいた3人組の西洋人とタイマン(相手は3人だけど)みたいになっていたからでした。まるで西部劇よろしく、相対して至近距離でトマトを投げ合っていました。しかし、おそらく相手は野球を知らないヨーロッパ人。対してこちらは野球大国日本人。

そして、そんな私はと言えば、小学校1年生の頃から少年野球と野球部で週7で野球の練習をしていました。小学校の卒業文集の将来の夢の欄に”プロ野球選手”と書いていたほど、野球漬けの日々を過ごしていました。まあ、中学で自分よりも下手な先輩がいるのに球拾いをさせられることになり嫌になって辞めたくらいのパッションだったのですが・・・

しかし、その野球の成績は、地元名古屋のリトルリーグ100チーム以上参加する大きな大会、佐川急便杯、にて圧倒的な強さで勝ち上がり、当時のナゴヤ球場(ナゴヤドームができる前の中日ドラゴンズの本拠地)で開催された決勝戦で、最終的に敗れはしたものの、準優勝したチームのレギュラーメンバー、サードで5番でした。

小学生の頃の話なので、自慢でもなんでもありませんが、とにかく野球歴、物を投げる歴は絶対に目の前の白人よりも私の方が上。そんなサードで5番の意地もあり、的確かつ冷静に相手にトマトをぶつけ続けてやりました。そんな祭り自体は1時間ほどで終わりました。

しかし体感時間としては5、6時間戦ったのではないかと思うくらい濃い時間を過ごしました。終了の合図が聞こえた時、全身はトマトまみれでグチャグチャになっており、辺り一面冗談でもなんでもなく空爆された後みたいな惨状になっていました。ここでふと思いました。どうやってマドリードまで帰ったらいいんだ・・・


A20 地球の歩き方 スペイン 2018~2019