ヨーロッパ横断旅行記102 深夜のマドリードで恐怖の鬼ごっこ

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雨上がりのマドリード。BARからの帰り道。私のうしろをつけてきている(と思われる)2~3人組がいました。性善説と楽観論を捨てた私は彼らから走って逃げようと思いました。しかし、奴ら悪漢は卑怯者。こちらが隙を見せたらすぐにつけこんできます。そう中朝韓露のように・・・ということでギリギリまで逃げる素振りを見せないようにしました。

さも、まだ油断していますよ、気づいていませんよ、というフリをすることにしました。目の前の角までは。駆け引きが大事。そして、次の角を曲がった瞬間ダッシュしようと思っていました。そんな私にとって唯一の救いは雨が降っていたためスニーカーを履いていたことでした。これがいつものサンダルだったらダッシュもできませんでした。

・・・まあ、よく考えてみれば雨が降っていなければ、サンダルを履いていたかもしれませんが、そもそも人通りももっとあったわけで、誰かに襲われることもないのかもしれません。まあ、そんなことを今更考えても仕方がありません。今はとにかくこの危機?を脱出することを考えなくてはいけません。

そして、角を曲がった瞬間。思い切りダッシュしてやりました。当時、私は20歳。まだ軽やかに動けていた時期です。まさに飛ぶように跳ねるように走りました。後にも先にもあんなに早く走ったことはありませんでした。おそらく高校2年の時に50m走で自己ベストの6.5秒を出したときよりも早く走れたと思います。

そして、振り向きこそしませんでしたが、後ろからつけてきていた(と思われる)2~3人組はどうかというと・・・完全に走って私を追いかけてきているのが分かりました。これはダメだ。捕まったらダメなやつだ。やっぱりあいつら悪人だった。ちくしょう。

正直、心のどこかで日教組の左翼教師の性善説を信じている私が心の片隅、ほんのわずかですがありました。私の勘違いであってくれと。しかし、現実はやはり残酷でした。本当左翼は嘘つきです。しかし、私の突然のダッシュに不意をつかれたのも事実のようで、何やら悪態をついているのが聞こえました。

確かダッシュをして逃げ始めた地点から宿までは500mほどの距離があったと思います。絶対に逃げ切ってやる。当時20歳の私はまだ体力には自信がありました。相手はスペインの怠惰なチンピラ。例え、ガチンコの暴力で負けたとしても、脚力とスタミナで負けてたまるか。こっちは学生時代そこそこ運動神経が良かったほうだったんだぞ。

そうして、私は深夜のマドリードを舞台に、捕まったら何をされるかわからない、命がけの鬼ごっこをするはめになりました。


地球の歩き方 A20 スペイン 2018-2019