ヨーロッパ横断旅行記103 深夜のマドリードで悪人をぶっちぎる

Pocket

深夜のマドリード。私は突然、街のチンピラ相手に命がけの鬼ごっこをするはめになりました。しかし、こちらは当時20歳でまだ現役。体力にも脚力にも自信があります。そんな夜な夜な誰かを襲って生計を立てているような不健康なチンピラに走り負けることなどありません。案の定追いかけてくるものの差を縮められることなく、むしろ多少の差を広げながら私は深夜のマドリードを駆け抜けました。

そして、しばらく走りようやく見慣れている宿の近くまで到達することができました。しかし、いつもならこの時間でもまだ人通りがありますが、この日は朝から続いた雨のせいで人通りはゼロ。畜生。結局宿まで逃げ込まなくてはいけないのか。しかし、宿はもう目の前。勝った!そう思いました。でも大事なことを1つ思い出しました。それは当時私が泊まっていたマドリードのホテルは鍵が3つあるということでした。

一つ目は宿が入っている建物に入る鍵(一つの建物に複数の宿がある)

二つ目は宿に入る鍵。

三つ目は自分の部屋に入る鍵。

こんな時に!そう思いながら、何とかホテルが入る建物に到着しました。ちなみに建物に到着する直前から、ポケットから鍵を出し、差し込む準備をしていました。そして鍵穴に手当たり次第に鍵を差し込みました。慌てながらも何とか二回目でドアが開き、大急ぎで建物の中に入り、ドアを閉めました。

良かった・・・ほっと一息着いた瞬間、ドアの向こうからドアを叩く怒声が聞こえました。うおおおっ!どうやら間一髪だったようです。しかし、私はその怒声を聞いた瞬間、恐怖から、さらに飛ぶように階段を駆け抜け3階にあった宿に滑り込みました。玄関横にあるサロンのソファには他の宿泊客がくつろいでいました。

しかし、あまりの形相で駆け込んできた私を見て一体何事かと皆驚いていました。私はことの顛末を一部始終話しました。そして、そっと近くの窓から下を見てみると建物から立ち去っていくチンピラ3人組が見えました・・・・・今まさにあいつらに襲われそうになったけど、振り切ったよ。そう、腰が抜けそうになりながら呟きました。

さて、これは一体誰が悪いのか?幼少期より自虐史観を植え付けられている日本人的には、心の何処かで、気をつけていない、襲われる方にも問題がある、とか思ってしまいそうです。が、やっぱりどう考えても奴らが、襲ってくるほうが悪い。まあとにかく、実害がなくて良かったです

最後の最後で怖い目にあいましたが、そんな治安の悪さを補って余りあるくらい、スペインでの時間は、楽しい時間でした。それが、襲われて嫌な記憶を持ったままスペインを離れずに済んでホッとしました。


地球の歩き方 A20 スペイン 2018-2019