ヨーロッパ横断旅行記112 ワインを飲みながら徹夜で語り尽くす

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迎えに来てくれた良典君と共に部屋に上がると、洋一郎さんがチャーハンを作っていました。何やらベイクドビーンズという甘辛い豆が入った変わったチャーハンでした。今食べると美味しく感じるかどうかは正直微妙ですが、当時貧乏バックパッカーだった私にはとても美味しく感じられました。

3人でさくっとチャーハンを食べた後、皆で昨日一緒だった女の子、佳枝ちゃん、たちのフラットへ行こうという話になりました。尚、行く旨、話はもう通してあるとのことでした。女の子たちのシェアルームに行くなんて、まるで修学旅行の夜、女子の部屋に行くようでちょっとドキドキします。

洋一郎さんの家を出たのが22時過ぎ。途中ワインやスナックなどの買い出しをして、結局佳枝ちゃんたちの家に到着したのは深夜24時半頃になっていました。途中まで迎えに来てくれていた佳枝ちゃんに誘われるように部屋に上がりました。うーん、洋一郎さんのフラットに比べると良い匂いがする気がする。

初めは5人(私達男子3人と佳枝ちゃんとエブリン)で話していましたが、途中から洋一郎さんとエブリン、そして私と良典君と佳枝ちゃん、の2組に別れていました。ちなみに洋一郎さんとエブリンはエブリンの部屋で、私達はキッチンで、それぞれ過ごしていました。確か3本ほどワインを買って行ったはずですが、即なくなり、佳枝ちゃんの家にあったワインも空けて、3人で計4本空けました。

というか佳枝ちゃんはほとんど飲まず、良典君もあまり飲んでいなかったので、正味私一人で3本は空けたことになります。また、途中で酒のつまみもなくなったのですが、佳枝ちゃんが、まさに冷蔵庫の余り物でさっと作ってくれたペペロンチーノがびっくりするくらい美味しかったことを覚えています。そうした楽しい時間は朝方まで続きました。

本当はそのままもっともっとダラダラと過ごしていたかったのですが、その日私はホテルをチェックアウトして、洋一郎さんの家にお世話になるつもりでいました。しかし、ホステルのチェックアウト時間は10時。急いでホステルに戻ってパッキングをしなくてはいけません。しかし、徹夜で語り明かし、体は心地よく疲れていました。

そんなぬるま湯のような、居心地のよい空間。そこから抜け出すことは腰が重く、かなりの決断を必要とします。今であれば、心地よい現在を取り、ホテルのチェックアウトなんてどうでもいいわ、とダラダラしていたかもしれません。しかし、当時貧乏バックパッカーだった私には、1泊10ポンドを捨てることもでき難いことでした。心の中で必死に葛藤した結果・・・せこくも10ポンドを優先するため佳枝ちゃんの部屋を後にすることにしました。


A03 地球の歩き方 ロンドン 2019~2020